お得な限定販売や入荷告知はこちら

第四話 一すじの光


朝来へ移住しても、

問題がすべて解決したわけではありませんでした。

むしろ嵐は続いていました。

家庭のこと。

子どものこと。

経営のこと。

そして将来のこと。

毎日が精一杯でした。

当時の私は、

誰にも本当のことを話していませんでした。

話せませんでした。

でも一人だけ、

相談に乗ってくれる人がいました。

---

その人は、

私が見えていないものを見ていました。

---

ある日、

その人に言われました。

「あなたは被害者ですよ。

問題解決は簡単です。

加害者から離れることです。」

---

私は驚きました。

正直に言うと、

何を言っているのかよく分かりませんでした。

人は、問題の渦中にいる時、冷静に自分をみることができないのです。

私は自分を被害者だと思ったことなどありませんでした。

ただ必死に”家族を守ろう”と努力し続けていました。

もうとっくに壊れてしまっていたのに。

でも今思えば、

あの一言が人生を変えました。

---

人間は不思議です。

一度気づいてしまうと、

今まで見えていなかったものが見えるようになります。

景色がガラリと変わるのです。

---

それまで当たり前だと思っていたこと。

我慢するしかないと思っていたこと。

自分が悪いと思っていたこと。

---

それらすべてがまったく違って見えるようになりました。

そして私は、

子どもたちを守るために、人生を立て直すために、

少しずつ動き始めました。

---

長いトンネルの出口は、

突然現れるものではありません。

遠くに小さな光が見えて、

それを頼りに少しずつ歩くものなのだと思います。

---

そして私は、

ようやく長い結婚生活に終止符を打ちました。

---

けして渡れないと思い込んでいた川を渡り、

安心して暮らせる地を目指して、私は再び歩きはじめました。


(第五話へ続く)

(第三話へ戻る)