夫は、話しかけてもほとんど「ああ」とか「うん」としか言わない。
昔に比べると口数は格段に減った。
ずっとそれを淋しいと思っていたけれど、ある時、淋しさは幸せに変わった。
夜、夫はお風呂上りに必ず飲み物を飲む。
子供たちが寝室に入ってから、ふたりだけで過ごすわずかな時間。
氷を山盛りに入れたお気に入りのグラスを二つ。
ちょうど一年前の日付が書いてある梅酒の瓶のフタを開けて、静かに注ぐ。
「ああ、うまいね!」
夫がつくづく呟く。
私は心の中で「待ってました」とほくそ笑む。
私が手間と時間をかけて作る何かしらの美味しいものを夫はいつも楽しみにしてくれている。
それを美味しそうに食す夫の姿を私は何より楽しみにしている。
会話が弾むことは、めったに無くなったけど、こうしてふたり、だまってグラスを傾ける静かな時間こそが幸せだと思うようになった。

「コップ」を思い描いてみてって言われたら、こんなのが思い浮かぶんじゃないか?っていうような、普通のコップ。
けれど、あきらかに何かが違う。
普通以上のコップなのだ。
それもそのはず、職人が息を吹きかけて作る「宙吹き」という技法で作られている。
そのせいか、大量生産ラインには無い温かみというか個性のようなものを感じる。
手に持った時の手なじみの良さ、グラスとグラスを合わせたときの「チン」という音がまた、なんとも清々しい響きなのだ。
熱い炎で溶けたガラスが人の息を受けて形になる「宙吹き」ガラス。
夫は別に飲めない人ではないんだけど、たまに飲む夜は「せっかくなら~」なんて言いながら、選ぶのはたいていこのコップなのだ。

【商品詳細】
※この商品はグラス2個セットです。
寸法 直径81×高さ98mm
容量 約310ml
重量 125g
価格 ¥7,000(税抜)¥7,700(税込)2個セット
制作 東屋
製造 晴耕社ガラス工房(京都府京丹波町)
デザイン 猿山修 GUILLEMETS + SARUYAMA
*寸法、容量、重量の数値は、個体差があります。
*容量は、満水時の数値です。
コップの底に晴耕社ガラス工房のロゴが入っています。

再入荷は「再入荷のお知らせ」にご登録いただくか、
公式LINEでお知らせいたします。
