インタビュー取材を受けました。

雑誌「暮らしの手帖」の元編集長でエッセイストの松浦弥太郎さん、ジャーナリストで作家の佐々木俊尚さんらが創設した「SUSONO」というコミュニティがあります。

私は、そのSUSONOコミュニティのメンバーなのですが、先日、SUSONOからインタビュー取材を受けました。

SUSONOには毎月テーマがあり、そのテーマに沿ってイベントが行われたり、Webコンテンツが展開されたりしています。

今回は、「決める」というテーマに基づいたインタビューでした。

神戸から大分県中津市へ移住し、カフェを経営する中での様々な決断についてお話しさせていただきました。

これまで、コケットのWebコンテンツ「Coquette Talk On」にて、誰かにインタビューすることは何度か行ってきたのですが、私自身がインタビューを受けることは初めてです。

とても緊張しましたが、とても新鮮な体験でもありました。

これまで無我夢中で走ってきて、正直言って後ろを振り返る余裕も無かったので、あらためてこれまでのことを思い返してみることが出来ました。

人生とは、様々な決断の連続です。

なにも経営者でなくとも、人は毎日多くの選択と決断を繰り返しています。

朝起きて朝食のパンに塗るジャムの種類や今日着る服を決めるのも“選択と決断”です。

過去の出来事を振り返って「あー、あの時あっちを選んでいれば、今もっと違う人生になってただろうなあ…」と思うこともありますよね。

私たちがカフェを開業することを決めたのは、どちらかといえばせざるを得ない状況で開業という選択に至ったのですが、ある意味それが良かったように思います。

それまで「いつかカフェをやりたいな」という思いはありましたが、いやもっと正確に言うと「いつかカフェをやるんだろうな」というぼんやりとしたイメージはありました。

積極的に「やるんだ。やりたい。」というイメージではなかったわけです。

今思えばそれで良かったと思います。

やりたいからやるのではなく、やらなきゃならないからやる。
自発的な「やる」はモチベーション次第で「やめる」の選択もできます。
でも、やるべくしてやっている場合、「やめる」の選択肢がありません。
あとは、どうやるかを考えるしかないのです。
つまり私たちはそういう思考の癖をもっているのでしょう。
これは、私たち夫婦の唯一(?)の共通点かもしれません(笑)

SUSONOでは、これからについても話題になりました。
これからも思考の癖は変わらないでしょう。
しかもダブルパワー(ふたりとも)ですから(笑)

今回の取材では、インタビューという作業スキルの勉強にもなりました。

これから、コケットのWebコンテンツ「Coquette Talk On」に活かしていきたいと思います。


ごはんとおやつと暮らしの道具店コケット

大分県中津市京町1484-6
TEL 0979-22-8234
駐車場あり

駐車場をご案内しますのでスタッフにお声掛けください。
住所検索されますとまったく違う場所に案内されることがあります。
迷った場合はご遠慮なくお電話を。

蚤の市、にぎやかな二日間

このたびの「こけっと蚤の市」には、たいへん多くのお客様にお越し頂き本当にありがとうございました。
せっかくの蚤の市だからと、とっておきのお品や日頃のコケット店頭にはない商品を盛りだくさんにご用意しました。

また今回はオーガニック農家さんの出店もありました。
オーガニックで育ったお野菜の数々、そして卵や小麦粉を使わずオーガニックの米粉などで作った焼菓子などもあっというまに無くなっていきました。

オーガニックの焼菓子とは思えない美味しさで有名な「手作り工房メープル」さんだけあって、わざわざ遠くから焼菓子を求めてお越しになる方も目立ちました。

ランチにはオーガニック農家さんのトマトや茄子・ジャガイモなどを使って、肉魚を使わない野菜のみのおばんざいランチをお出ししています。
ランチとワッフルを食べたあとは、ゆっくりとお買い物を楽しんでくださっていました。
お気に入りのお品は見つかりましたでしょうか?

当日は私もたくさんのお客様とふれあうことができて、とても有意義な二日間になりました。
皆さんとお話させて頂いて、みなさんこの日を楽しみに来てくださったことがよく分かって、とても嬉しい気持ちで一杯になりました。誠にありがとうございました。

ごはんとおやつと暮らしの道具店コケット
大分県中津市京町1484-6
TEL 0979-22-8234
駐車場あり

駐車場をご案内しますのでスタッフにお声掛けください。
住所検索されますとまったく違う場所に案内されることがあります。
迷った場合はご遠慮なくお電話を。

もう一つの物語

兵庫県朝来市、兵庫県のちょうど真ん中あたりに位置する山間の村に小さなレストランがあります。

約100年前に建てられた古民家を改築し、レストランとして10年前にオープンしました。

山肌に沿うように二十数軒の家々がならぶ小さな山村で、周辺の景色は田んぼと畑と山だけ。

大阪からは、中国道・播但道を経て車で2時間ほどかかります。

メニューは、但馬牛のビーフシチューとハンバーグステーキのみ。

美味しいお肉としていわずと知れた但馬牛と、添えられる但馬地方の新鮮な野菜たっぷりの料理を求めてお客様が絶えません。

ここは私の両親が営むレストランです。

やさい厨房-邑居(ゆうきょ)といいます。

両親はそれまで35年以上、奈良県で洋食レストランを営んできましたが、約10年前「持続可能な働き方」を考え、先祖代々の家である朝来市の古民家に移住しました。

夏は、都市部よりも体感温度が3~4℃は低く感じられるくらい、涼しい風がゆったりと吹いています。

山の湧き水を集めて流れる小さなせせらぎがあり、国の天然記念物オオサンショウウオがひょっこり顔を出していたりします。
森林からはひぐらしの声が聞こえ、ほんの少し歩いて山に入るだけで神聖な空気に包まれます。

絵にかいたような田舎暮らしがここにはあります。

先ほど移住と書きましたが、両親は完全に移住したわけではなく、正確には奈良県との二拠点生活をしています。

朝来市の生活は、スーパーまで5km、ちょっと大きな病院へとなると1時間近く車を走らせなければなりません。

高齢になるとある程度の都市型生活が必要になります。

環境は良いのですが、正直いって不便です。

二拠点生活とか多拠点生活という言葉が世の中に出回るずっと前に、両親は二拠点生活を選んでいたわけです。

学生時代から人生の大半を過ごした奈良県には友人知人も多く、心地よいコミュニティがあります。

先祖代々からの住居がある朝来市にも、村のメンバーとして伝統と伝承の一種の役割のようなものを担うコミュニティがあります。

どちらも大切なコミュニティーです。

両親は近い将来、いずれはどちらかの家に定住することになるだろうと思いますが、ゆるやかに生活を変化させてゆくのだと思います。

何かを決めてしまうとちょっと無理してでも目的を果たそうとしてしまいがちです。

決めてしまうわけではなく、人生のそれぞれの場面でしなやかに状況に合わせて暮らす。

このとき、忘れてはならないことは「自分にとって大切なものは何か」その軸だけはぶれないようにいつも気を付けていること。

そうすれば、時代がどう変わっても、世情がどう変わっても、柔軟に合わせつつ大切なものを守って生きて行けるような気がします。

私たちもしなやかに状況に合わせて暮らしてゆこうと思います。

これから私たちが朝来市へ通う回数は増えるでしょう。

大切にするものや生き方の姿勢がぶれないかぎり、朝来市でも世界を広げることが出来るかもしれません。

もう一つの物語がはじまる予感がします。

やさい厨房-邑居(ゆうきょ)についてはこちら


ごはんとおやつと暮らしの道具店コケット

大分県中津市京町1484-6
TEL 0979-22-8234
駐車場あり


駐車場をご案内しますのでスタッフにお声掛けください。
住所検索されますとまったく違う場所に案内されることがあります。
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生き方に悩む大人は少なくない。

生き方に悩む大人は少なくない。
生き方とまで大げさに言わなくても、働き方とか暮らし方とか、ちょっと立ち止まって自分自身を見つめ直すことがあります。

私たちも、最近「ちょっと待てよ」と立ち止まって考えなおす機会がありました。
そして、生き方に悩んでいるのではない、居心地が悪いだけなんだということに気づいたのです。
人は、どこに身をおくかで生きやすさが大きく変わります。
良いコミュニティーに身をおくことで人生の質が向上する。
そのことに気づいたのです。

こちらは真摯な対応を心がけていても相手からはそうでない場合があります。
プライベートだけでなく、BtoBの場面でさえも、そういうことが時々あります。
そんなときはものすごく喪失感に襲われます。

ちょっと待てよと立ち止まって、なぜそうなのか考えてみましたが、答えは出ませんでした。
相手に対してなぜそうなのかなんて、考えても仕方がないことだから。

なので、私たちの今年のテーマを「良いコミュニティーに身をおく」にしました。
客商売なんだから八方美人でいいじゃないと言われればそうなんですが、それがどうもできない。
生真面目なのか不器用なのか。

昨年は、オリジナル商品の種類も増えて、Webサイトのインタビュー企画もVol.3まで進めることができました。
そうやって仕事の幅を少しずつ広げていったおかげで、多くの人々との出会いがありました。
様々な人々とコミュニケーションする中で見えてきたことがあります。
それは、価値観の近い人と繋がることでより良い未来へつなげることができるんじゃないかということです。

やりたいことはたくさんあります。
例えば、オリジナル紙袋も制作したい。
けれど、デザインも印刷も、ちゃんと作りたい。
B to C だけでなくB to Bの場面でも、関わってくださる方々にたいして真摯に向き合いたい。
創造性のある人間関係の中でものづくりをしたいのです。

結局、いまのところパッケージデザイン、Webサイト制作、インタビュー、ライティング、すべて自分でやっていますが、時間の捻出には本当に苦労しています。

もしかしたら、今年のテーマ「良いコミュニティーに身をおく」ことが上手くいけば、一緒にものづくりをしてくれる良い仲間に巡り会えるような気がしています。

私たちの活動に共感してくださったなら、どうぞ遠慮なくお声掛けください。
私たちはいつもCoquetteに居ますから。


ごはんとおやつと暮らしの道具店コケット

大分県中津市京町1484-6
Tel. 0979-22-8234
(金曜定休+不定休)
営業時間 11:00~17:00
#カフェのこと・暮らしの道具のこと

※ 中津城から徒歩1分
周辺に市営駐車場(無料)が多数あります。
カーナビで表示されない場合は、中津城を目安にお越しください。
迷った場合は、遠慮なくお電話を。

「磁今 JICON」今村製陶さん 第二話【Coquette Talk On】

陶磁器の原料は石だ。
山から陶石を採掘し、それを粉にして水に混ぜる。
すると沈殿した部分と、粉が溶け込んだ上澄み液とに分かれる。
その上澄み液をろ過して、残った粉を粘土にする。

もともとの有田焼の原料は、有田市にある泉山という山で採掘される白い石だ。
1616年、この泉山を 朝鮮人陶工・李参平が発見し、日本で初めて陶磁器が誕生したといわれいる。

(記事中の表記、今村肇氏=今村、コケットのマスター高橋通泰=髙橋、筆者コケット高橋香=香、敬称略)

今村:でも僕の仮説はちょっと違ってて。
白い石は先に見つかってたんじゃないかと思うんです。
それで秀吉が朝鮮から技術者を連れてきたと思っています。

泉山は国指定史跡・泉山磁石場として保存されている。
この有田で、日本で初めて陶磁器が誕生して以来400年以上経つ。
”山”とはいうが、400年間掘り続けられた山は、もはや山の姿を留めていない。
現在、陶石の採掘は、ほとんど行われていない。
今の有田焼の原料となる陶石は、熊本県の天草陶石を使用している。
熊本の天草陶石は、有田泉山のものより白いという特徴がある。

今村:磁今ももちろん天草の陶石を使っています。
天草の山から採掘された石は、おもに4つの等級にわけられています。
作家さんは「特上(とくじょう)」、多くの有田焼の窯元は「撰上(えりじょう)」、大量生産品は「撰中(えりちゅう)」「撰下(えりげ)」を使います。
しかし、磁今は全くオリジナルの石を使っています。
昔から有田は高温の1300度で焼くことで「丈夫な割れない有田焼」を武器に器を作ってきました。
それが有田の職人のこだわりと自信です。
しかし僕は、石から変えて温度や釉薬もオリジナルのやり方をすることで「磁今」を生み出しました。

天草の山から採掘された石を、いわゆる良い石(耐火度の高い白い石)と良くない石(耐火度の低い茶色の石)の何種類かの等級にわけ分類された磁土をつくる。
良い石は昔から簡単に取れる所から採っていたため、現在の採掘場は良い石をとるために良くない石が大量にとれる。
しかし、たくさんと採れる良くない石によって採掘コストが上がる一方、良い石の価格はほぼ変わらないままで、事業の継続が危うくなっているのが現状だ。

良くない石と表現しているが、使い方によっては、これがとても良い石になるのだ。
今村氏は、ここに着目し、この「良くない石と呼ばれている良い石」が有田・波佐見地区でも多く使われるようになれば、無駄に陶石の山を掘る必要もなくなり、陶石を採掘する人たちも助かるのでは?と考えた。

そこで、低火度(1200度前後)で磁器化する磁土=「良くない石」を使い、それにあった釉薬を独自で開発し、あの磁今が生まれた。
素材感のある優しい風合いを持った「生成りの白」の誕生だ。

今村:有田焼はもともと1300℃で焼くんですが、僕はこれを1240℃で磁器化する磁土をあえて使うことで、独特の風合いを作っています。

:1240℃で焼くっていうのは、難しい技術なんですか?

今村:いや、焼くことそのものはそんなに難しいことではないです。
ただ、この有田では1300℃で焼くっていうことを当たり前としてきたので、それを変えるということがもしかしたら難しいことかもしれないですね。
1240℃で焼くためには絵具も釉薬もすべて変えなくちゃいけない。
僕はたまたま、磁今というブランドをゼロから立ち上げたので、それが可能だったんです。
有田焼の陶石の採掘現場では、わずかな良い石を掘るために多くの他の石を捨てている、というか放置している。
採掘コストがかさんで、このままでは廃業もあり得るという現状を前にして、やっぱり、この石を使うことには意味があるなと思ったんです。

:そのことでより持続可能なものになりますよね。
放置されているものに新たな使命が生まれるというか。

今村:でもだからといって、原料代が安いってわけじゃないんですよ。

高橋:えっ?!そうなんですか?

今村:誰も使わないもの、流通していないものなので、むしろコストがかかるんです。
原料代は「撰上」と同じなんです。

磁今の磁器は、いくつかの作り方で作られる。
デザインによって、それぞれの形状にあった作り方で作られている。

圧力鋳込み(あつりょくいこみ)
上下雄雌がある型に粘土を流し込み成形するやり方。
型に空いた小さな穴から粘土が入っていく。
いくつも重ねられた石膏型の中に、空気圧で粘土を注入する。
空気圧で押し出すから圧力鋳込み。
圧をかけるので土がすごく締まる。

今村:磁器は、このように石膏型を使った作り方が合っているんですね。
陶器はロクロで成形するのだが、陶器の土をこの石膏型のやり方で作ると粒子が荒く、鉄の分量が乱れる。
陶器の荒い土を石膏型に入れて作ることはできない。
陶器はむしろ手作りで作った方が素材感が引き立つ。
しかし、磁器はもともと素材感がないのが素材なので。

排泥鋳込み(はいでいいこみ)
石膏型にドロドロの水のような粘土を流し込む。

時間が経つと石膏が水分を吸って、約3ミリくらいの厚み部分が固まる。
中のドロドロ粘土を排出し、よく乾燥させると形になる。
この時点では、形になっているとはいえ大変やわらかい。

これを800℃で焼く。
すると写真のピンク色のようになる。

これに釉薬をかけて1200℃で焼くと写真の白いものになる。
はじめの石膏型に比べ、出来上がり品は15%ほど小さくなる。

:なるほどこんなふうにシステマティックに作られているとは思いませんでした。
しかも、何度も焼くんですね。

今村:作り方からみると磁器は本来大量生産に向いているんですね。
個性がないといえば個性がないんだけど、でも僕はそれはたんに磁器の特性だと思っていて、それを無理して手作りで作る必要はないと思うんです。
手作りは手作りの良さがある。
でも、お客さんに安くて良いものを買ってもらいたい。
そこをあえて手作りにして高いものにして買っていただくよりは、安く大量につくれるという磁器の特性を活かして、より広く楽しんでいただくほうがいいと思っています。
けして手作りの作家物も悪くはないんだけど、磁今としてはこの磁器の素材の特性を活かして作りたいんです。

今村:これは機械轆轤(ろくろ)っていう作り方です。
波佐見焼きは、轆轤(ろくろ)でもオートメーション化してもっと大量生産型にしているところもありますが、いわゆる窯業(ようぎょう)、器を作っているところは轆轤(ろくろ)で手作りしているところが多いですね。

左と右で微妙に形が変わっているのが分かるだろうか。
左が轆轤(ろくろ)を回してできたもの。
右が削りを施したもの。
アウトラインをよく見比べて頂きたい。
わずかに削って、シルエットに微妙な反りを加えているのだ。

今村:一歩間違えればふにゃふにゃしたものになってしまうんです。
キリッとさせたまま柔らかさを出す。
たぶん、うちにしか出来ないことだと思います。

磁今を磁今たらしてめているのは、この削りと釉薬だ。
型から出したものに丁寧な削り作業を施すことで、手作りのぬくもりと微妙な個体差が生まれる。
半ばオートメーションで作られているようで、しかし、しっかりと人の手を入れ、命を吹き込むのだ。

この方法は、たしかに効率的ではないかもしれない。
効率的に生産できる磁器ゆえにもっと企業的な窯元になることは可能なのだが、今村氏はそれを選ばないだろう。

磁今は、とてもデザイン性が高い。
それゆえ時に作家っぽく扱われることも多いらしい。
しかし、そんなとき、この半オートメーションの作り方から「作家じゃないじゃん、なに作家ヅラしてんの」的な評価を受けることもあるという。
これは今村氏にしてみれば、とんだとばっちりだ。
彼は純粋に、実直なものづくり人なのだ。
素材をよく知り、素材を活かしたものづくりをすることは、作り手として絶対不可欠な要素だ。
今村氏はいう。
「僕は社長業は得意じゃないんで、できればずっと作っていたいです。」

ものは人が作る。
まさに作り手の魂の結晶なのだ。

(第三話へつづく)

インタビュー第一話【Coquette Talk On Vol.3】「磁今 JICON」今村製陶さん


ごはんとおやつと暮らしの道具店コケット

大分県中津市京町1484-6
Tel. 0979-22-8234
(金曜定休+不定休)
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※ 中津城から徒歩1分
周辺に市営駐車場(無料)が多数あります。
カーナビで表示されない場合は、中津城を目安にお越しください。
迷った場合は、遠慮なくお電話を。

「磁今 JICON」今村製陶さん 第一話【Coquette Talk On Vol.3】

コケットのお客様にはお馴染みの食器ブランド「磁今/JICON」を展開する今村製陶さんは、古くからの町屋が立ち並ぶ有田の目抜き通りにある。
有田陶器市が催されるときには、たくさんの出店が並び最も賑やかな場所になるメインストリートですが、催し以外の日常は、なんとも静かな田舎町だ。

こちらが、代表の今村肇氏。
やんちゃ坊主のような笑顔が印象的。

そして上品で美しい奥様の支えがあって、今村氏の情熱が素敵な作品となって羽ばたいているんだなあ。

(記事中の表記、今村肇氏=今村、コケットのマスター高橋通泰=髙橋、筆者コケット高橋香=香、敬称略)

高橋:磁今は、作品にドラマを感じるんです。
佇まいのその向こうにストーリーが見えるっていうか。
和にも洋にもテイストが合う、そして現代にもアンティークにも合う。
何も盛り付けられていなくても、ドラマがある器なんですよねえ。
それはやっぱり生成りの白が所以なのかなあ。

香:「ストーリー性がある」っていうのは、コケットのモノ選びの基準にしていて、それだけで完結しない。
他のものと掛け合わせたときにいい役者になる。
モノの向こうにある物語を大切にしているんです。

今村:まあ、うちのはそんなに主張が強くないんで、馴染みやすいっていうか。

高橋:逆にそれがいいんですよ。
出すぎず引きすぎず。そしてすごく温かみがありますよね。

今村:前からあったかのような?(笑)
これ出来た時もみんなで言ったんですよ。あれ、前からあったかなって(笑)

香:ああ、そうですね。分かります、その感じ。
そのままでアンティークのようでもあるし、アンティークと一緒に使っても違和感がない。

今村:ひと昔前だと、伝統を否定して新しいものをっていう考え方があったんだけど、僕らは伝統を引き継いで肯定して、今必要とされている部分はどこなんだっていう考えの上でモノづくりをして来たし、これからもしようねっていうふうには考えています。

なるほど、モノづくりに対するとても真摯な姿勢が見て取れた。
そうか、今村氏が語った“自己主張しない”という磁今の個性は、そのまま今村さんのものづくりの姿勢でもあるのだ。
伝統工芸の世界にいると、伝統という長い流れの中に立って、自分という個のあり方とのジレンマに苦しむこともあるだろう。
しかし、彼はその流れに掉さすことはせず、流れの一部として個性をうまく表現している気がする。
伝統を引き継ぐ者のその真摯な生きる姿勢に共感を覚えつつ、私たちは工房へと向かった。

その時、奥様が「全工程をしている有田焼の窯元ってなかなかないので、どうぞご覧ください。」とおっしゃった。
全工程?そのファクトリーな響きに、そもそも有田焼つまり磁器ってどうやって作られるのだ?という疑問が、いまさらながらに沸いた。
焼き物って、土をこねてロクロで成形して窯で焼く。
高校の美術の授業で作ったことがあったから、何となくだがそんなものだろうと思っていた。
しかし、このあと磁器と陶器ではこんな違いがあるのかと驚くことになる。

今村:有田焼っていうのは、基本的には分業制なんです。
原型は自分で作って、石膏型を作って、そこから窯元で焼いて、上絵付けはまた別の業者がする。
それぞれの専門職があって外注するんです。

高橋:分業制なんですね。知らなかった。

今村:400年やっているので、分業のほうが生産効率もいいし、そのほうがクオリティも高く保てるんです。
大量生産大量消費の時代は、それが良かったんだけど、今はそんなにめちゃくちゃ売れる時代でもないし。
やっぱり分業制のデメリットもあって、自分は大量生産するつもりはないし、かといって個人の作家さんが一個二個っていう作り方もしたくない。
自分は程よい量を安い値段で、しかも味わいあるものを作りたいと思ったんです。
なのでうちは、外注に出さず全部うちでやっています。

そうか、先ほど奥様がおっしゃった全工程をやっているというのはそういうことか。
工房の一角では職人さんが、湯のみのひとつひとつに釉薬をかける作業を行っていた。
陶磁器は、いくつかの作り方があるが、基本的には原料の粘土を石膏型で形どり、乾燥と幾たびかの窯焼きを重ねて作られる。

高橋:僕は磁今のイメージは、どちらかというと使うというよりは飾っておきたい感じなんですよね。

今村:えっ、使ってください!(笑)

香:あら?私は使いたいけどなあ。
実際コケットのランチでも使ってるしね。(笑)

今村:あ、でも分かります。
食器棚に置いて絵になるっていうのは、みんなで意識して作ってます。
これを見てもらったらわかるんですけど、これがなま生地っていうもので、型から抜いただけの押したらポコって折れるような生地なんですけど、型の切れ目のフチなんかがやっぱり残っているんですね。
それを一個一個キレイにフチを削りなおして、フォルムをはっきりさせる。
大量生産だとこのまま次の工程に行ったちゃうんだけど、うちはここでいったん形を決めなおして、形をはっきりさせるんです。

香:こまかい作業に手間がかかってるんですね~。

今村:手間っていうより、地味(笑)
地味なんだけど、これがけっこう重要でここで磁今の思う形を作るんです。

高橋:受注生産でもないし、大量生産でもない、程よい量って感じですか?

今村:そうですね、自分たちはそれぐらいのほうが気持ちがいいですね。
最初の石膏型を使ってできる形以外は、ほぼ作家ものと変わらないんですよね。

高橋:やっぱりこの菊のデザインっていうのは、大事なラインなんでしょうか?

今村:そうですね、ただ菊のデザインっていうのは一番手間がかかるので、生産率としてはなかなか上がらないんですが。

高橋:有田焼=菊っていう伝統的な形ですよね。

今村:そうですね、昔からある形なので、でもそれをあえてやりたいというか。
あるとき東京のディレクターさんが「あらためて、磁今が菊皿っていうものをいいなと思わせてくれた」とは言ってくれましたね。

高橋:ほかにも有田焼の菊皿ってありますが、僕は磁今は他とは違うものを感じているんですね。
フォルムの丸さに温かみと優しさを感じるんです。

今村:それは、じつは意識していて、他はコンピューターで作るんですね。
デザイナーさんからコンピューターでデザインが上がってきて、作るのもコンピューターで作ってます。
でもうちは、もちろんデザイナーさんからはコンピューターで作ったデザインが来るんですが、そこから先はぜんぶ手でやる。
それによって、あえてちょっとゆるい仕上がりなるんです。

高橋:ああ、それがこの独特のぬくもりを生むんだなあ。

この後、実際に磁器を作る工程を見せて頂いた。
単純に「土をこねて焼く」のではないことを改めて知った。
磁器は、本来機械的に作ることができるものだ。
それゆえに、大量生産品のように海外に多く輸出されていた歴史がある。
磁今も機械を使って作るのだが、それは大量に作るためではなく、原料の特性によるものだ。
原料の粘土を型にはめて形作るのだが、それをあえて手ごねで作るのはナンセンスだ。
原料の特性に合わせた作り方をし、そこに出来る限り人の手を加えて、手作りの良さを加えるのだ。

次回は、工房のさらに奥へ。
磁今らしい温もりが生まれる工程をご覧いただきます。
お楽しみに。

(第二話へつづく)

インタビュー第二話【Coquette Talk On Vol.3】「磁今 JICON」今村製陶さん


ごはんとおやつと暮らしの道具店コケット

大分県中津市京町1484-6
Tel. 0979-22-8234
(金曜定休+不定休)
営業時間 11:00~17:00
#カフェのこと・暮らしの道具のこと

※ 中津城から徒歩1分
周辺に市営駐車場(無料)が多数あります。
カーナビで表示されない場合は、中津城を目安にお越しください。
迷った場合は、遠慮なくお電話を。