新たな命を吹き込む職人

岩津の家は築100年。
古民家の改築は、現代建築の技法や材料ではとうてい賄えないことも多い。
古民家の再生を得意とする大工さんに、しかも但馬の建築をよく知る人に今回のリノベーションをお願いしたいと思った。

ほうぼう探してやっと見つけたのが、藤本建築合同会社(但馬大工舎)の藤本誠さんだ。
初めて会ったときの感動を忘れない。
いたずら小僧のような笑顔で、但馬の暮らしをとても魅力的に聞かせてくれた。
ご自宅は築600年ちかくになるそうで、仕事の合間に少しずつ手を入れながら、古民家を再生させているのだとか。

古い屋敷を改築する際に要らなくなった建具や古材を貰いストックしている。
立派なお屋敷を解体した際に出た欅の太い梁があった。
べんがら色に塗られらた立派な梁。
今ではもうこれだけの材木をはじめから作ることはほぼ不可能なのだという。

何百年もの間、家屋を支えてきた太く大きな材木だが、まったく反り返ったり曲がったりすることなく、もちろん今でも十分使える状態にある。
それにはまず、腕のいい目利きの優れた木こりが山から木を切り出し、腕のいい大工が製材し梁に仕立てている。
幾人もの職人技が、この欅に梁という役割を与えている。
これからもまだまだ、この欅はいい仕事をしてくれそうだ。

材木だけでなく、古民家の暮らしのなかで住人と時を重ねてきた家具もたくさんストックされている。
「まだまだ使えるのにもったいなくてねえ」
あちこち少しずつ欠けたり抜けたりしているのだが、藤本さんの手によってまた新たな命を与えられる。
これから、岩津の古民家再生がはじまる。
但馬の大工によって新たな息が吹き込まれる。
但馬の暮らしを肌で感じとれる古民家に。
いまからワクワクがとまらない。

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